毎朝日

フリーカメラマンの通勤事故、「労災」と認定 偽装フリーランス問題

仕事で使うカメラを手にするフリーカメラマンの男性。労働基準監督署から「労働者」と認められた=2023年8月18日、東京都内、遠藤隆史撮影
仕事で使うカメラを手にするフリーカメラマンの男性。労働基準監督署から「労働者」と認められた=2023年8月18日、東京都内、遠藤隆史撮影

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形式的にはフリーランスふりーらんすだが、実態は労働者ろうどうしゃと変わらない「偽装ぎそうフリーランスふりーらんす」の問題もんだいをめぐり、品川しながわ労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょ東京とうきょう)が、都内とない会社かいしゃ業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくむすフリーカメラマンふりーかめらまん男性だんせい(40)が通勤つうきん中にった交通こうつう事故じこ労災ろうさい認定にんていしたことがわかった。労基ろうきしょ決定けっていは10がつ12にち

男性によると、2020年にせんにじゅうねんから都内とない会社かいしゃ半年はんとし更新こうしん業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくむすび、同社どうしゃ受注じゅちゅうした広告こうこく写真しゃしん撮影さつえいなどをになってきた。22ねん7がつくるま現場げんばかう途中とちゅう後続こうぞくくるま追突ついとつされ、頸椎けいついけいついけいつい捻挫ねんざひだりあしこつおれなどのけがけがったという。自身じしんはたらかたフリーランスふりーらんすではないとかんがえ、12がつ労基署ろうきしょ労災ろうさい申請しんせいした。

フリーランスふりーらんす自身じしんひろ裁量さいりょうはたらける一方いっぽう労働ろうどう基準きじゅんほうなどで保護ほごされる「労働者ろうどうしゃ」とあつかわれず、原則げんそくとして労災ろうさい保険ほけんなどの対象たいしょうにならない。

しかし男性だんせい場合ばあい繁忙期はんぼうき同社どうしゃからの仕事しごとだけでつき200時間じかんはたらくこともあり、ほか仕事しごとける余裕よゆうはなかった。撮影さつえい自体じたい自身じしん裁量さいりょうがあるが、撮影さつえい場所ばしょ時間じかん発注者はっちゅうしゃ意向いこう拘束こうそくされ、会社かいしゃから撮影さつえい件数に関係かんけいないつきごとの固定こてい報酬ほうしゅう支払しはらわれた。カメラかめら以外いがい機材きざい会社かいしゃから無償むしょう提供ていきょうされていたという。

品川しながわこうしたはたらかた実態じったいまえ、男性だんせいにはフリーランスふりーらんすとしての裁量さいりょうがなく、会社かいしゃからこまかな指揮しき命令めいれいける労働者ろうどうしゃだったと判断はんだんして、労災ろうさい認定にんていしたとみられる。

男性を支援しえんする労働組合ろうどうくみあいで、フリーランスふりーらんす編集者へんしゅうしゃらが加盟かめいする「ユニオン出版ネットワークゆにおんしゅっぱんねっとわーく」の杉村和美すぎむらかずみさん(71)は「労基署ろうきしょ労働実態ろうどうじったい丁寧ていねいった結果けっかだ。偽装ぎそうフリーランスふりーらんす救済きゅうさいにつながるおおきな成果せいかだ」とはなした。会社側かいしゃがわ取材しゅざいに「とくコメントコメントはない」と回答かいとうした。(遠藤隆史えんどうたかし

Vocabulary

WordJLPT LevelPart of SpeechMeaning
偽装 (ぎそう)N1Noundisguise, camouflage
認定 (にんてい)N2Nouncertification, approval
決定 (けってい)N3Noundecision, determination
更新 (こうしん)N3Nounrenewal, update
契約 (けいやく)N3Nouncontract, agreement
撮影 (さつえい)N3Nounphotography, filming
事故 (じこ)N3Nounaccident, incident
労災 (ろうさい)N1Nounworkers’ compensation
申請 (しんせい)N3Nounapplication, request
裁量 (さいりょう)N1Noundiscretion, latitude
保護 (ほご)N3Nounprotection, safeguard
対象 (たいしょう)N3Nountarget, object
余裕 (よゆう)N3Nounsurplus, margin
拘束 (こうそく)N1Nounrestraint, restriction
編集者 (へんしゅうしゃ)N1Nouneditor
加盟 (かめい)N1Nounaffiliation, membership
救済 (きゅうさい)N1Nounrelief, aid
通勤 (つうきん)N2Suru Verbcommuting to work
遭う (あう)N2Godan Verbto encounter, to meet with
認める (みとめる)N3Ichidan Verbto recognize, to acknowledge
結ぶ (むすぶ)N3Godan Verbto tie, to bind
担う (になう)N1Godan Verbto carry, to bear
負う (おう)N1Godan Verbto bear, to take on
考える (かんがえる)N4Ichidan Verbto think, to consider
扱う (あつかう)N3Godan Verbto handle, to deal with
拘わる (かかわる)N2Godan Verbto be involved in, to be concerned with
踏まえる (ふまえる)N1Ichidan Verbto be based on, to take into account
判断する (はんだんする)N3Suru Verbto judge, to determine
聞き取る (ききとる)N1Godan Verbto listen carefully, to hear out
救う (すくう)N2Godan Verbto save, to rescue
つながるN3Godan Verbto be connected, to lead to

Grammar and Sentence Structure

  1. 形式的にはフリーランスだが、実態は労働者と変わらない「偽装フリーランス」の問題をめぐり、品川労働基準監督署(東京都)が、都内の会社と業務委託契約を結ぶフリーカメラマンの男性(40)が通勤中に遭った交通事故を労災と認定したことがわかった。

    • Grammatical points: This sentence contains the nominalizer “こと,” which turns the preceding clause into a noun phrase. The verb “認定した” (recognized) is in the past tense, indicating the action of recognizing something in the past.
    • Structure: [clause]ことがわかった。In this case, the clause before “こと” is “都内の会社と業務委託契約を結ぶフリーカメラマンの男性(40)が通勤中に遭った交通事故を労災と認定した.”
  2. 男性によると、2020年から都内の会社と半年更新の業務委託契約を結び、同社が受注した広告写真の撮影などを担ってきた。

    • Grammatical points: The phrase “男性によると” indicates that the information is based on the man’s account. The verb “結び” is the te-form of the verb “結ぶ” (to conclude), which connects it to the following clause.
    • Structure: [noun + によると], [clause].
  3. 男性を支援する労働組合で、フリーランスの編集者らが加盟する「ユニオン出版ネットワーク」の杉村和美さん(71)は「労基署が労働実態を丁寧に聞き取った結果だ。偽装フリーランスの救済につながる大きな成果だ」と話した。

    • Grammatical points: The verb “話した” (said) is in the past tense, indicating the action of speaking in the past. The phrase “労働実態を丁寧に聞き取った結果だ” is a noun phrase describing the result of the labor standards office carefully listening to the actual work situation.
    • Structure: [noun phrase]は[noun phrase]と話した。

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