毎朝日

第8回「冷静に」といわれた人々が法を変えた 再び問われる裁判所の女性観

連載「『嫌だ』がどうして届かない 性的同意と司法の今」取材後記
連載「『嫌だ』がどうして届かない 性的同意と司法の今」取材後記

Link to the original article

性的せいてき同意どうい」をめぐる司法しほう判断はんだんれている現状げんじょうについて「『いやだ』がどうしてとどかない」を3がつ連載れんさいした。取材しゅざいした記者きしゃインタビューいんたびゅーなどをつうしてかんじたことことつづつづる。

昨年さくねん12がつ、ある性暴力せいぼうりょく事件の無罪判決むざいはんけつ抗議こうぎするフラワーふらわーデモでもがあった。寒空さむぞらした性被害せいひがい当事者とうじしゃ支援者しえんしゃら約300さんびゃく人が集まりあつまり被害ひがい訴えうったえ女性じょせいとの連帯れんたい示したしめした

苦しいくるしいのがいいいいんとちゃう」「苦しいくるしいって言われたいわれたほうがおとこ興奮こうふんするからな」「いいいいってなるなるまでしろしろよ、お前おまえ」。これはこれは口腔こうくうこうくうこうくう性交せいこう求められもとめられ、「苦しいくるしい」「やめてくださいやめてください」と訴えたうったえた女性じょせい男性だんせいらがかけたかけた言葉ことばだ。こうしたこうしたやりとりやりとり裁判所さいばんしょは「性行為せいこういさい見られるみられることもあるひわいひわい言動げんどう評価ひょうか可能」と判断はんだんした。拒絶きょぜつ言葉ことばそのその意味いみ通りとおり受けとめてうけとめてくれないことに女性たちじょせいたち絶望ぜつぼうし、性交観せいこうかん女性観じょせいかんゆがみゆがみ抗議こうぎこえ上げてあげていた。

だがだがSNSえすえぬえすでは「判決はんけつんでいないのでは」「推定すいてい無罪原則げんそくらないのか」など、こえげた女性じょせいたちを冷笑れいしょうし、「冷静れいせい」になるようもとめるこえ目立めだった。

そのあと性暴力せいぼうりょくくわしい複数ふくすう専門家せんもんか取材しゅざいしたしたが、判決はんけつ全文ぜんぶんんだうえなおなお判決はんけつ認定にんてい現在げんざい刑法けいほう規定きていには疑問ぎもん問題もんだいあるある指摘してきする識者しきしゃおおかった。

2019にせんじゅうきゅう3さん相次あいついだ性暴力せいぼうりょく事件無罪判決むざいはんけつきっかけきっかけはじまったフラワーふらわーデモでもは、同意どうい有無うむ主眼しゅがんく「不同意性交罪ふどういせいこうざい」につながっつながった。

せい生殖せいしょくかんする健康けんこう権利けんり」について発信はっしんする「#なんでないのプロジェクト」代表だいひょう福田ふくだ和子かずこさんは、冒頭ぼうとうフラワーふらわーデモでもで「このこの判決はんけつ残酷ざんこくさを他人たにんごとと思えない世界線せかいせんきているから、こえげている。まずはまずはこのこのことこと真摯しんしめられることことはなしそれそれからだ」とちからめた。

事件じけん現在げんざい検察けんさつ側が上告じょうこく判断はんだん最高裁さいこうさい委ねゆだねられている。どんなどんな 判断はんだんなるなるのか注視ちゅうししたい。

23にじゅうさん年の改正かいせい刑法けいほう時、付帯ふたい決議けつぎには、性犯罪せいはんざい司法しほう手続きてつづき当たってあたって被害者ひがいしゃ心理しんりトラウマとらうま被害者ひがいしゃ相手方あいてがた関係性かんけいせい適切てきせつ踏まえるふまえる必要性があることも明記めいきされた。

暴力ぼうりょく犯罪はんざい認めみとめられない世界せかいでは安心あんしんして生きいきられない。

こえげる当事者とうじしゃなだめなだめ冷静れいせいになるようもとめるひとは、そのひと言葉ことば痛みいたみかろんじていないか。自分じぶん行為こうい加害かがい加担かたんしていることになってなっていないか、かんがえてみてほしいほしい

不同意ふどうい性交ざい」ができて1年半いちねんはんあまり。法律名ほうりつめいわっても、同意どういをめぐる司法しほう判断はんだんれ続けています。司法しほう、そして社会しゃかい意識いしきアップデートあっぷでーとされているのでしょうか。

Vocabulary

Word (Furigana)JLPT LevelPart of SpeechMeaning
揺れる (ゆれる)N2Godan verbto shake; to sway
抗議する (こうぎする)N2Irregular verbto protest
訴える (うったえる)N2Godan verbto appeal; to sue; to complain
示す (しめす)N3Godan verbto show; to demonstrate
冷笑する (れいしょうする)N2Irregular verbto sneer; to mock
指摘する (してきする)N2Irregular verbto point out; to indicate
継続する (けいぞくする)N2Irregular verbto continue
変える (かえる)N5Godan verbto change
受け止める (うけとめる)N2Ichidan verbto catch; to accept
暴力 (ぼうりょく)N3Nounviolence
冷静 (れいせい)N2な-adjectivecalm; composed
残酷 (ざんこく)N2な-adjectivecruel; brutal
重要 (じゅうよう)N3な-adjectiveimportant
目立つ (めだつ)N2Godan verbto stand out; to be conspicuous
受け入れる (うけいれる)N2Ichidan verbto accept; to receive
伴う (ともなう)N2Godan verbto accompany; to bring along
変化する (へんかする)N2Irregular verbto change; to transform
反映する (はんえいする)N2Irregular verbto reflect; to mirror
促す (うながす)N2Godan verbto urge; to encourage
伝える (つたえる)N3Ichidan verbto convey; to communicate
直面する (ちょくめんする)N2Irregular verbto face; to confront
取り組む (とりくむ)N2Godan verbto tackle; to address
重要視する (じゅうようしする)N2Irregular verbto regard as important
反省する (はんせいする)N2Irregular verbto reflect on; to reconsider
影響を与える (えいきょうをあたえる)N2Godan verbto influence
進める (すすめる)N3Ichidan verbto advance; to promote
期待する (きたいする)N2Irregular verbto expect; to anticipate
受ける (うける)N5Ichidan verbto receive; to get
変わる (かわる)N5Godan verbto change
重要な (じゅうような)N3な-adjectiveimportant
反応する (はんのうする)N2Irregular verbto react
進行する (しんこうする)N2Irregular verbto progress; to advance

Grammar and Sentence Structure

  1. 「苦しいのがいいんとちゃう」「苦しいって言われたほうが男興奮するからな」「いいってなるまでしろよ、お前」。

    • Grammatical Points:

      • 「んとちゃう」: This is a colloquial expression in Kansai dialect, meaning “isn’t it?” or “is that not so?” It combines the explanatory particle 「ん」 with the negative form of the verb 「ちゃう」 (to be wrong).
      • 「って言われたほうが」: This phrase uses the quotative particle 「って」 to indicate what was said, followed by 「言われた」 (was said) and 「ほうが」 (the side that), which compares two situations.
      • 「なるまでしろよ」: This uses the verb 「なる」 (to become) in the conditional form with 「まで」 (until), indicating a limit or endpoint.
    • Structure:

      • The sentence consists of three quoted statements that reflect the attitudes of the men towards the woman’s expression of discomfort. Each statement is a separate clause, conveying a dismissive or derogatory view of the woman’s feelings.
  2. こうしたやりとりを裁判所は「性行為の際に見られることもあるひわいな言動と評価可能」と判断した。

    • Grammatical Points:

      • 「こうしたやりとりを」: This phrase uses the demonstrative 「こうした」 (such) to refer to the previously mentioned interactions, followed by the object marker 「を」.
      • 「評価可能」: This is a compound adjective formed from 「評価」 (evaluation) and 「可能」 (possible), meaning “can be evaluated.”
      • 「判断した」: This is the past tense of the verb 「判断する」 (to judge), indicating that the court made a decision.
    • Structure:

      • The main clause is “裁判所は判断した” (the court judged), with the subject “裁判所” (the court) and the object “こうしたやりとり” (such interactions). The quoted phrase provides the content of the court’s judgment, indicating how they interpreted the interactions.
  3. 「性と生殖に関する健康と権利」について発信する「#なんでないのプロジェクト」代表の福田和子さんは、冒頭のフラワーデモで「この判決の残酷さを他人ごとと思えない世界線に生きているから、声を上げている。まずはこのことが真摯(しんし)に受け止められること。話はそれからだ」と力を込めた。

    • Grammatical Points:

      • 「について発信する」: This phrase uses 「について」 (about) to indicate the topic, followed by the verb 「発信する」 (to communicate/send out).
      • 「と思えない」: This is a negative potential form of the verb 「思う」 (to think), meaning “cannot think of.”
      • 「真摯に受け止められること」: This uses the adverb 「真摯に」 (sincerely) and the passive form of the verb 「受け止める」 (to accept), indicating that the situation should be sincerely accepted.
    • Structure:

      • The sentence begins with the subject “福田和子さん” (Ms. Kazuko Fukuda), followed by her affiliation with the “#なんでないのプロジェクト” (project). The main clause describes her actions at the flower demo, including her quoted speech, which expresses her feelings about the judgment and the need for sincere acknowledgment of the situation. The sentence is complex, with multiple clauses and a direct quote embedded within it.

Quiz

Test your comprehension of the article!