水不足の被災地で誤嚥性肺炎防ぐには 口腔ケアやマッサージ、会話も
水不足の被災地では、歯磨きなど口腔(こうくう)ケアができず、雑菌が肺に入っておきる「誤嚥(ごえん)性肺炎」のリスクが高まる。
どのようなケアをすればいいのか。
水が十分にない中、口の衛生状態を保つには、どうしたらいいのか。
支援物資として各地から届いている、マウスウォッシュやデンタルリンスを歯ブラシにつけて磨く。歯ブラシがなければ、ガーゼやティッシュペーパーにつけて汚れをぬぐうだけでもよい。
入れ歯の手入れも滞りやすい。水の代わりにデンタルリンスで洗ってもよい。歯ブラシを洗う水もないこともある。使い捨ての歯ブラシを活用できると望ましいという。
水分をとることを控えたり、余震などの影響で交感神経が活発になったりして唾液(だえき)の出が悪くなり、口が渇く人も増えている。
そうした人には、唾液をつくる唾液腺のマッサージが有効だ。唾液腺の中でも耳下腺と呼ばれる、耳の前から下の部分を指でぐるぐると刺激するだけでもさらさらな唾液が出やすくなる。
避難先で孤立し、話す機会が減る人もいる。人と話すと、不安が和らぐとともに、唾液の分泌が促されるので、会話することも大切という。
誤嚥性肺炎は命に関わる病気で、震災関連死にもつながる。2024年1月の能登半島地震で被害を受けた、石川県七尾市の能登総合病院の長谷剛志・歯科口腔外科部長は、地震直後の病院の受診者のデータを調べた。衰弱が進みやすい高齢者に、誤嚥性肺炎が多くみられたという。
誤嚥性肺炎は、口の中の衛生状態が悪くなることだけでなく、バランスのよい食事ができないための低栄養や脱水、免疫力の低下など複合的な理由から起こりやすくなる。
長谷さんは「平時と同じケアをするのは難しいが、その場でできることをして重症化する人を減らしてほしい」と語る。(編集委員・辻外記子)
Vocabulary
Word (Furigana) | JLPT Level | Part of Speech | Meaning |
---|---|---|---|
被災 (ひさい) | N2 | Noun | disaster, calamity |
口腔 (こうくう) | N1 | Noun | oral cavity |
誤嚥 (ごえん) | N1 | Noun | aspiration |
高まる (たかまる) | N3 | Verb (Godan) | to rise, to increase |
衛生 (えいせい) | N1 | Noun | hygiene |
保つ (たもつ) | N3 | Verb (Godan) | to maintain, to preserve |
支援 (しえん) | N2 | Noun | support, aid |
物資 (ぶっし) | N2 | Noun | goods, materials |
届く (とどく) | N3 | Verb (Godan) | to reach, to arrive |
歯ブラシ (はぶらし) | N3 | Noun | toothbrush |
汚れ (よごれ) | N3 | Noun | dirt, stain |
活用 (かつよう) | N2 | Noun | utilization, application |
活発 (かっぱつ) | N2 | Adjective | active, lively |
唾液 (だえき) | N1 | Noun | saliva |
増える (ふえる) | N3 | Verb (Ichidan) | to increase, to grow |
有効 (ゆうこう) | N2 | Adjective | effective, valid |
唾液腺 (だえきせん) | N1 | Noun | salivary gland |
刺激 (しげき) | N2 | Noun | stimulation, irritation |
さらさら | N3 | Adverb | smooth, silky |
避難先 (ひなんさき) | N2 | Noun | place of refuge, evacuation site |
孤立 (こりつ) | N1 | Noun | isolation, loneliness |
和らぐ (やわらぐ) | N2 | Verb (Godan) | to be eased, to be alleviated |
能登半島 (のとはんとう) | N1 | Noun | Noto Peninsula |
衰弱 (すいじゃく) | N1 | Noun | debilitation, weakening |
高齢者 (こうれいしゃ) | N2 | Noun | elderly person |
衛生状態 (えいせいじょうたい) | N1 | Noun | hygiene condition |
バランス | N3 | Noun | balance |
低栄養 (ていえいよう) | N1 | Noun | malnutrition |
重症化 (じゅうしょうか) | N1 | Noun | aggravation, deterioration |
平時 (へいじ) | N1 | Noun | peacetime, normal times |
Grammar and Sentence Structure
水不足の被災地では、歯磨きなど口腔(こうくう)ケアができず、雑菌が肺に入っておきる「誤嚥(ごえん)性肺炎」のリスクが高まる。
- This sentence includes the causative form of the verb “入る” (to enter) in the form “入っておきる,” which expresses that the action of bacteria entering the lungs is allowed to happen or is in a state of happening.
- The structure of the sentence is: [Verb in te-form] + おく + Potential form of the verb + リスクが高まる.
水分をとることを控えたり、余震などの影響で交感神経が活発になったりして唾液(だえき)の出が悪くなり、口が渇く人も増えている。
- This sentence uses the たり〜たりする construction to list multiple actions or states.
- The structure of the sentence is: [Verb in te-form] + たり + [Verb in te-form] + たり + して + Noun + も + 増えている.
誤嚥性肺炎は、口の中の衛生状態が悪くなることだけでなく、バランスのよい食事ができないための低栄養や脱水、免疫力の低下など複合的な理由から起こりやすくなる。
- This sentence uses the ための construction to indicate the reason or cause for the inability to have a balanced diet.
- The structure of the sentence is: Noun + ための + Noun + や + Noun + など + 複合的な理由から + Verb in potential form + なる.
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