「あなたは悪くない」性暴力被害、そのときの服装が伝えるメッセージ

Link to the original article

何を着きていたかは関係かんけいない――。性暴力せいぼうりょくを受うけた時とき、被害者ひがいしゃが着きていた服装ふくそうを紹介しょうかいする企画展きかくてんが上智大学じょうちだいがく（東京とうきょう・四谷よつや）で開ひらかれている。性被害せいひがいにあったのは露出ろしゅつの高たかい服ふくを着きていたからでは。そうそうしたいわれなき非難ひなんに立たち向むかう意味いみが込こめられているという。8日にちまで。

ベージュべーじゅのニットにっとと黒くろいパンツぱんつ、夏なつ物の子供こども服ふくのワンピースわんぴーす、白しろいブラウスぶらうすとジャンパースカートじゃんぱーすかーとの制服せいふく……。

「そのそのとき、あなたあなたは、何なにを着きてた？（WhatWereYouWearingわっと・わー・ゆー・うぇありんぐ？）」展てんに並ならぶのは、性せい被害ひがい経験けいけん者しゃ20人にんの服装ふくそうを再現さいげんした古着ふるぎの数かず々。9～11月がつ、ウェブうぇぶで被害ひがいについて募集ぼしゅうし、18歳さい～50歳さい代だいの35人にんから寄よせられた。当事者とうじしゃの同意どういを得えて出展しゅってんした服装ふくそうには、一部いちぶ編集へんしゅうした被害ひがいにあったあった出来事できごとや思おもいも添そえている。

ブルーぶるーのニットにっとにジーンズじーんずの服装ふくそうは、友人ゆうじんに望のぞまない性交せいこうを強しいられた人ひとのもの。〈自分じぶんの不注意ふちゅういのせいだと思おもい、自己じこ嫌悪けんおに陥おちいり、大学だいがくの授業じゅぎょうやバイトばいとに出でられませんでした〉

子子こどもの頃ころに受うけた性暴力せいぼうりょく、痴漢ちかん、ハラスメントはらすめんと……。服装ふくそうと言葉ことばで被害者ひがいしゃの苦しさくるしさや怒いかりを伝つたえている。

企画者の一人で同大の田中雅子たなか まさこ・総合そうごうグローバルぐろーばる学部がくぶ教授きょうじゅによると、経験けいけんを寄よせた人ひとの約やく8割わりは誰だれにも被害ひがいを語かたったことがなかったという。「日本にほんでも性せい被害ひがいにああった人ひとが声こえをああげているが、被害者ひがいしゃを責せめめるバッシングばっしんぐを見みたら、被害者ひがいしゃは声こえをああげられなくなってしまう。非難ひなんが被害者ひがいしゃに向むかう状況じょうきょうを変かえたい」

この取り組とりくみは、米アーカンソーあーかんそー大だいの研究者けんきゅうしゃらが2014年ねんに開催かいさいしたアートあーと展てんが始はじまり。米国こくの倫理学者りんりがくしゃ、メリー・シマリングさんがレイプれいぷ被害ひがいにあっあったことを書かいた詩し「私わたしが着きていたもの」から着想ちゃくそうを得えたもので、反響はんきょうが広ひろがり、米国こく内ないやベルギーべるぎー、ベトナムべとなむなどで開ひらかれてきた。日本では初はつ開催かいさいとなり、上智じょうち大だいグローバル・コンサーンぐろーばる・こんさーん研究所けんきゅうしょの教員きょういんや学生がくせいの有志ゆうしなどが企画きかくした。

古着のふるぎ収集しゅうしゅう・展示てんじには、都内とないでセレクトせれくとブティックぶてぃっく「Sisterしすたー」を運営うんえいする長尾ながお悠美ゆうみさんが協力きょうりょくした。経験談けいけんだんから当時とうじの時代じだい背景はいけいなどを加味かみしてリアルりあるな服装ふくそうを選えらんだという。「被害ひがいにあったあった人ひとたちは特別とくべつではなく、身近みぢかにいると感かんじてもらいたかった。服ふくと性せい被害ひがいは全くまったく関係かんけいがなく、性せい被害ひがいの問題もんだいをぶれさぶれさせないよう訴うったえたい」

田中教授たなかきょうじゅは「声こえをあげるあげることが困難こんなんな被害者ひがいしゃに『あなたあなたは悪わるくない』とメッセージめっせーじを届とどけたい。被害者ひがいしゃへの非難ひなんをなくすために行動こうどうする人ひとが増ふえてほしい」と話はなす。

プレぷれ企画きかくとして11月がつ22日にちに同大だいで講演こうえんした臨床りんしょう心理士しんりしのみたらしみたらし加奈かなさんは「『私わたしにスキすきがあったあった』という声こえや、身近みぢかな人ひとから言いわれたなど、victimblaming（被害者ひがいしゃへの二次にじ加害がい）は日常にちじょうで起おきている。それによって私わたしが悪わるかったと思おもい、被害ひがいを『透明化とうめいか』されてしまう人ひともたくさんいます。だからこそ、自分じぶんの被害ひがいに気きづくことがファーストステップふぁーすとすてっぷ」と語かたった。みたらしみたらしさんは性暴力せいぼうりょくの問題もんだいや性的せいてき同意どういについて情報じょうほう発信はっしんするNPO法人ほうじん「mimosas（ミモザみもざ）」の代表だいひょう副理事ふくりじを務つとめる。性暴力せいぼうりょくにあったあった時、証拠しょうこを残のこすことや、相談そうだん機関きかんについて紹介しょうかいしたた。

また、性暴力せいぼうりょくをなくすため「『行動こうどうする傍観者ぼうかんしゃ』（ActiveBystanderアクティブバイスタンダー）を広げてひろげていきたい」と語りかたり、近くちかくにいる人ひとが性暴力せいぼうりょくやハラスメントはらすめんとにあったり、その状況じょうきょうを見みたりした時とき、その人ひとを守りまもり、証拠しょうこを残すのこすなどの積極的せっきょくてきな介入かいにゅうを呼びかけたよびかけた。

企画展てんは同どう大だい2号館ごうかん1階かいエントランスえんとらんすで。無料むりょう。平日へいじつ午前ごぜん9時じ半はん～午後ごご8時じ、土日どにちは午前ごぜん10時じ～午後ごご6時じ。8日にちは午後ごご2時じまで。（畑山はたけやま敦子あつこ）

Vocabulary

Grammar and Sentence Structure

• 「当事者の同意を得て出展した服装には、一部編集した被害にあった出来事や思いも添えている。」
  • This sentence includes the causative form (得て) and the passive form (出展した) of verbs. The causative form expresses the idea of “making someone do something,” while the passive form indicates that the clothes were exhibited with some edited details of the experiences and feelings related to the victimization.
• 「ブルーのニットにジーンズの服装は、友人に望まない性交を強いられた人のもの。」
  • This sentence uses the に particle to indicate the specific clothes (ブルーのニットにジーンズ) that belong to the person who was forced into unwanted sexual intercourse by a friend.
• 「被害者への非難をなくすために行動する人が増えてほしい」と話す。
  • This sentence uses the ために to express the purpose of the action, indicating that the speaker wants more people to increase their actions in order to eliminate the blaming of victims.

Quiz

Test your comprehension of the article!